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February 2007

February 28, 2007

染みかと思ったら脱色

先日、1人のお客様が来店した。

コートを手に取り「このシミ、抜けますか?」と不安そうな表情で聞いてきた。

僕はシミを見た瞬間、

「これは脱色していますね。染み抜きでは直りませんし、クリーニングでも直りません。」

と即答した。

お客様は「じゃあ、ダメですね」と寂しそうな表情。

僕は、「染み抜きでは無理ですが、染色補正で脱色は直せます。」と言い直した。

ほとんど判らない程度には充分に修正出来る自信はあったので、品物をお預かりした。


写真では判りにくいのですが、ボタンホールの下のオレンジの部分です。
この染色補正は、青色と青紫色を使用した。
 
 

  before         afterコートの脱色3コートの脱色 

 

 

 

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染色補正も、色々な先生が「赤く見えたら青、青く見えたら赤」と教えているが

それで補正出来るものは、そんなには多くない。

そもそも、赤の反対色は緑だ。

青をかける場合は、オレンジでなければいけない。

僕も最初はこれにやられた。

経験者が多いと思うが、

「あれ、赤っぽいな」と思い青をかける。

「あれ、青っぽいな」と赤をかける。そして青紫が出来る。

こうなると、色は濁ってしまい、大抵は合わなくなる。

青と赤以上に訓練が必要なのは、黄色と青紫。

 

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simiken4374 at 23:16|Permalinkclip!脱色(色抜け)の修正 

ワイシャツのエリ汚れ

サラリーマンはYシャツが命。

昔、そんなフレーズのコマーシャルがあった。

 

Yシャツは、クリーニング店に出す人が多いのではないだろうか?

しかし、最後は黒ずみ黄ばんで着用出来なくなる。

そんな声も良く聞く。

 

「なんで落ちないのかしら?」

そう思っている人も多いだろう。

 

もちろん、低料金でキチンとした仕事をするクリーニング店もある。

しかし、100円でそこまで出来ないというのが本音ではないだろうか?

 

Yシャツに蓄積された油は、黒ずみとなりさらに黒ずみの下は黄ばみとなる。

こうなると、洗ってポンって訳にはいかない。

油性の染み抜き、水性の染み抜き、漂白が必要になる。

  before         afterワイシャツのエリ汚れワイシャツのエリ汚れ2 

 

 

 

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simiken4374 at 13:38|Permalinkclip!黒ずみの染み抜き 
February 27, 2007

脇の脱色直し

クリーニングで直らない・染み抜きで直らない

これが脱色というやつですね。

色が抜けてしまった状態ですから、染み抜きしてももちろん駄目。

抜けた色を、筆やピースで染色します。

今回は、脇の脱色です。

現在、この色の服ばかり4着届いています。

皆さん、「脇ジミです」と記入されている。

やはり判らないんでしょうね。

我々は、一応プロだから見ただけでわかるんですが

一般の人はシミに見えてしまうんでしょうね。

正直、染色は儲からない。シミ研はね。

と、言いますのは、かかる時間が半端では無い。

なので、利益が非常に出にくい訳です。

よく、「色がけが出来れば、染み抜きは怖いもの無いね!」と言われます。

逆ですね。

色がけの辛さを知っているからこそ、地色を抜かずにシミを抜く方法を考えるんです。

なのでアイテムも必要になる。

地色ごとシミを抜く→染色は、本当に最後の最後の手段。

しかし今回のは最初から脱色していますから、もう染色しか無い訳です。
 

  before         after脇の脱色脇の脱色2 

 

 

 

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染色は難しい。

簡単に考える人が居るが、皆挫折する。

「赤く見えたら、青を塗ればいいんだよ」と良く聞く。

嘘です。

だいたいにして、赤の反対色は緑です。

まず、色を覚える事から始めなければならない。

茶色の「緑」と「赤」が判るか?

染色が判る人は「うんうん!」と思ってくれると思う。

見えない人には見えない。

また、単色を塗って直るのは本当にマレ。

大体、いろんな色が抜けている。

染色は足し算と引き算。

これは本当。でも、訓練が凄く必要。

訓練されれば、染色のスピードと精度は上がる。

僕は、まだまだ。

 

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simiken4374 at 23:11|Permalinkclip!脱色(色抜け)の修正 
February 26, 2007

バーバリーシャツの脱色直し

学生さんから、脱色したバーバリーのシャツが送られてきた。

品物が到着し、学生さんに電話をかける。

「これは、ほとんど判らないぐらいまでは十分直りますよ!」

「ホントですか?良かった〜。」


この学生さんは、しっかりとした人でとても好感が持てた。

無駄な話も、かなりしてしまいました(笑)

なんか嬉しくてね。ゴメンナサイ。。。


「まだ数回しか、着ていないシャツで、同じ物はもう販売されていないのです。」

その言葉にガゼンやる気が出た。

確かに、柄はよくあるバーバリー柄なのだが、デザインが変わっている。

「学生さんで、ふんぱつして買ったんだろうな。これは高くは取れないな。」そう思った。

こういう事をしてはいけないんですよね。本当は。

シミ研の料金の基準でキッチリしなければいけないのだが、

情っていうか、まあ学生割引です(笑)

脱色の直しは、料金を貰わないと合わないんですよ。

かかる時間が、ハンパではないですからね。
 
脱色箇所がオレンジになっていますから、染色のベースは反対色の青です。

しかし、これも青単体では直りません。

緑3・青紫2・赤1・黄色1の割合で、

濁った青を作り色が合った事を確認してピースで一気に吹きます。

緑+青紫=青です。



僕は色がけに数学を使って教えます。

緑1・青紫・赤1・黄色1=黒(グレー)な訳です。

そうすると

緑3・青紫2・赤1・黄色1 = 緑2+青紫1+グレー という方程式になりますね。

  before         after脱色の修正脱色の修正2 

 

 

 

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学生さんにえらく褒められた僕は、嬉しくなるのと同時に

僕の就職活動についても思い出した。

僕はHPでも、ラジオでも「1つ屋根の下」というドラマの影響でクリーニング店に就職しました。

と、よく言っている。

今の学生さんは、江口洋介の1つ屋根の下は知らないだろうな〜。

 

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simiken4374 at 23:07|Permalinkclip!脱色(色抜け)の修正 
February 25, 2007

コートの脱色直し

通常のクリーニング店の、朝お預かり夕方お渡しで脱色直しなんて不可能だ。

システムとして混乱する。


はっきり言って、出来ないよりは出来た方が良い。

これは、みんな判っている。



「これ以上しみ抜きをしますと、色が抜けるのでこれ以上は出来ません。」

クリーニング店の歌い文句。

本当にそうなのか?

なんで色が抜けるって判る?

どこかで試験をして色が抜けたのか?

嘘つきじゃん!





そんなお店に当たった、消費者は可哀相だ。

シミが取れれば着られる服もシミが落ちなくて、ゴミとなる。

消費者も、しっかりとした目でクリーニング店を選らぶ必要がある。

クリーニング=みんな同じ

そう思っている人は、予想以上に多い。




以前は、そんな事を考えていたが

最近、考えが変わった。

今は、それもビジネスとして仕方がないのかな。

と思い始めている。


そういうクリーニング店もアリだと思うようになった。

クリーニング店が全部、しみ抜き専門店である必要は無い。

安くて早くてソコソコであれば良い。

そう思う消費者だって凄く居る。


僕は、それが嫌で独立をした。

だけど、それを他のクリーニング店に押し付ける必要は無いんだ。

慈善事業じゃないのだから、ビジネスにならない事をする必要は無い。


ただ、僕はヤダ。

治せる物は治したい。

喜んでもらったら嬉しいもん。



なんて事を考えながら脱色を直した。



脱色直しってのは、僕の経験上だが

自転車に乗るようなものだ。


いきなり出きるようになる。

僕の教えた人はそうだった。

曲芸をするにはかなりの特訓が居るが、

乗るだけならそれほど難しくは無い。


でも、みんな乗る前に諦める。

乗れるまで頑張ればいいのに。


ただ、後ろで支えてくれる人が居ればもっと早く乗れるようになるよね。
 
 

  before         after脱色の修正脱色の修正 

 

 

 

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脱色は考え方。

同じ色を作って、脱色箇所に塗ってもまず治らない。

地色−脱色箇所の色=染色の色

バーバリー系の茶コートは、いじればかなりの確率で脱色する。

なので、染色が出来ない所はまずいじらない。


シミは落ちないわけじゃないんです。

ただ、地色も抜けるからシミもそのままで帰ってくるんです。

だから染色の技術は必要。

 

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simiken4374 at 23:04|Permalinkclip!脱色(色抜け)の修正 
February 24, 2007

スカジャンに付いたインクのシミ

今回は、スカジャンに付いたインクの染み抜きです。
この部分だけではなく、全体的にインクが飛び散っている。

見た瞬間「これは大変だ〜」と心底思いましたね。

でも、いつもブログを見ている人は、「インクは落ちるんでしょ?」と言いそう(笑)

でも、簡単に落ちないインクなんかもありますからね。

リスクを承知して頂いて、作業しなければならない物もあります。

このスカジャンはチョッと訳ありです。

詳しくは書きませんが、どうしても落とさなくてはいけないのです。

  before         afterインクの染み抜きインクの染み抜き2 

 

 

 

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袖部分の一部ですが、やっと終わりました。

まだまだ先は長いな〜。

 

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シャチハタインクの染み抜き

シャチハタのシミも、結構多いトラブルの一つ。

スタンプインクとかも意外と多いですね。

シャチハタのシミは、油性です。

家庭で落とすのは、かなり厳しいでしょうね。


僕は、シャチハタのシミを油性処理以外した事が無い。

だって、油性処理で落とせるから。

油性染み抜き剤+代替エタン。
 
 

  before         afterシャチハタの染み抜きシャチハタの染み抜き2 

 

 

 

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そういえば以前、染み抜き職人が

「シャチハタインクはアルカリ石鹸と蒸気だよ」と言っているのを思い出した。

そこで、シャチハタのHPを調べてみたら回答が載っていた。

↓シャチハタHP(Q. 生地にインキを付けてしまったのですが、インキを落とす溶剤は無いしょうか )
http://www.shachihata.co.jp/support/faq/04/0100/index.php

本当に、アルカリ石鹸と書いてある。

まあ、家庭で取る方法という事なんだろうね。

HPに「時間が経つと取れなくなる」と書いてあるが

僕は、シャチハタインクが取れなかった事は今までに無い。

実際に、アルカリ石鹸でHPの通りに試してみたがほとんど取れなかった。

アルコールを使用しても、やはり残る。

いや〜久しぶりにマルセル石鹸使いましたね(笑)

マルセル石鹸って、マルセイユ地方で作られたからマルセル石鹸っていうらしいです。

マルセル石鹸+ヘラ+蒸気+エアー

この組み合わせが懐かしいですね。クリーニング時代を思い出します。

 

 

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