血液の染み抜き
ダウンジャケットクリーニング、血液の染み抜き
当店で処理するダウンジャケットのうち、
MONCLER(モンクレール)は一番多い。
なぜか?
実は、高額なダウンジャケットだから。
シミが付いたぐらいで諦めきれない。
クリーニング店では、「ダウンジャケットの染み抜きは出来ません。」
そう答える所が本当に多いみたいですね。
当店に相談されるお客様から聞きました。
モンクレールのダウンに血液のシミが・・・。
ドライクリーニングでは、絶対に落ちない血液のシミ。
普通であれば、オロオロするはずです。
しかし、このお客様は当店の常連。
東京から、いつも品物を送ってくれる。
「落ちますよね?」とアッサリ言ってきます(笑)
「はい!問題なく落とせましたよ!」
ダウンジャケットクリーニング、血液の染み抜き
ドライクリーニングで、絶対に落ちないシミの一つに血液があります。
血液は、水に溶ける(水溶性)のシミに分類され
時間が経つと固まり、最終的には酵素分解が必要になります。
ダウンジャケット等の、冬物衣料は自力で染み抜きをすると、必ずと言っていいほど輪ジミになります。
血液のシミが完全に落ちず、広がってしまうのです。
そして、酸化変色してしまうのです。
血液のシミは、それほど難しいシミではありません。
ドライクリーニングでは落ちないだけなのです。
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血液の染み抜き
今回のパンツも、「クリーニング店でこれ以上落ちません」と言われたシミ。
少なくとも、最初の状態で水洗いするか染み抜きをすれば、かなり落ちているはずだ。
プロとして、こうゆう仕事はしてはいけないと思う。遺憾です。
血液中にはカタラーゼという酵素が含まれていて、これが過酸化水素を
酸素と水に分解します。
密室に閉じ込められ「酸欠で死ね〜!」みたいな場面がありました。
その主人公は、自分の腕を切り血液とオキシドール(過酸化水素)と混ぜ酸素を作ったのです!
結果、酸欠は免れめでたしめでたしでした。
もちろん僕も持っていますが、その時の問題で「血液のシミはどの薬品で抜きますか?」
ってのがありました。正解はアンモニアなんです。過酸化水素は×。
確実に、アンモニアよりは過酸化水素の方が血液は除去出来ます。
昔は血液の染み抜きにアンモニアが良く使われていたそうです。そのなごりかな?
カズノコの色は黄色ですよね?でもあれは、本当は赤茶色なんですよ。でも美味しそうに見えない
らしく、過酸化水素で漂白して黄色にしているんですって。
ビンテージジャケットの染み抜き
僕の考えは、ビンテージ=古い。
この仕事をするようになって、ビンテージと聞くと恐怖する(笑)
このジャケットは、1950年ぐらいのLEEのGジャンです。
全体的にシミがあり、もちろん何のシミかは判らない。
しかも、後ろにはプリント付き。
「はぁ〜」とため息が出るぐらいの重病患者ですね。
しかも、40万ぐらいの価値があるとか・・・・。
出来れば、触れたくない部類です(笑)
しかし、期待に応えるのが染み抜き屋としての生き方!
リスクの了承も貰い、あとは作業するだけです。
シミの形や、シミの付いている位置から血液のシミと判断。
酵素を使い、血液を分解して漂白処理でシミを抜く。
もちろん、キナリなので地色も真っ白に抜けます。
抜けた箇所に色を入れて、判らなくする。
本当に、大変な作業です。
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